内分泌代謝・糖尿病領域専門医制度の解説
はじめに
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医制度は、内分泌代謝・糖尿病内科の専門医を育成し、認定することを目的とした制度です。この専門医制度は一般社団法人日本内分泌学会と一般社団法人日本糖尿病学会が共同で運営しています。これまで個別に存在していた日本内分泌学会が認定していた内分泌代謝科専門医や日本糖尿病学会が認定していた糖尿病専門医の制度の一部が統合された形となり、一般社団法人日本専門医機構が認定する内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医が認定されるようになりました。
本専門医制度の主な目的は、甲状腺・副甲状腺・副腎・下垂体疾患や骨粗鬆症などの内分泌疾患、および糖尿病・脂質異常症・肥満症に代表される代謝疾患を専門的に診療できる医師を育成し、国民の健康増進に寄与することです。
日本専門医機構が認定する内科系サブスペシャリティ専門医として新たに制定された内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医制度は、2022年度より新制度での認定試験が開始されました。

新専門医制度の対象となる医師
この専門医制度の対象となるのは、新しい専門医制度における内科専門医の資格を取得している医師です。2018年以降に内科専門医研修を始めた医師が対象になります。内分泌代謝・糖尿病領域年問位はが内科のサブスペシャリティ領域の一つであり、内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医を目指す医師は、内科全般にわたる基礎的な知識と診療能力を習得していることが前提となります。
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医の取得要件
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医の資格を取得するためには、以下の要件を全て満たす必要があります。
内科専門医資格の取得
申請者は日本専門医機構が認定する新しい専門医制度の内科専門医資格を有していることが必須です。
研修歴
常勤として通算3年以上の内分泌代謝・糖尿病内科領域における研修歴が必要です。研修期間は、内科専門医研修を開始した時期によって異なります。
- 2021年以降に内科専門医研修を開始した医師:
内分泌代謝・糖尿病内科領域の研修施設において、常勤として通算3年以上の研修歴が必要です。内科専門医研修2年目から連動研修が可能であり、連携施設での研修期間は1年を限度としています。 - 2018年から2020年までに内科専門医研修を開始した医師:
日本内分泌学会認定教育施設、日本糖尿病学会認定教育施設ⅠまたはⅡ(基幹施設相当)、あるいは日本内分泌学会連携医療施設、日本糖尿病学会認定教育施設Ⅲや教育関連施設(連携施設相当)において、常勤として通算3年以上の研修歴が必要です。内科専門医研修との連動研修は2年以内とし、連携施設での研修期間は1年を限度としています。 この期間に内科研修を開始した医師に対しては、移行期間としての配慮が見られます。 - 非常勤勤務期間の取り扱い
短時間の非常勤勤務期間がある場合でも、1週間あたりの勤務時間が20時間以上であれば、按分計算によって研修実績に加算されます。ただし、3年間の研修期間のうち最低1年間は常勤(1日7時間45分、週4日以上)での研修が必要です。大学院に在籍しながら研修を行う場合はこの限りではありません。 - 休職期間の取り扱い:
疾病、妊娠・出産、産前産後に伴う研修期間の休止については、カリキュラム修了要件を満たしていれば、休職期間が6か月以内の場合、研修期間を延長する必要はありません。これを超える期間の休止の場合は研修期間の延長が必要です. この規定はライフイベントと研修の両立を支援するものです。
研修内容および経験症例
整備基準「3.専門研修の目標(研修カリキュラム)」、「4.専門研修の方式」、「項目57②修了要件」に示された研修内容ならびに経験症例を全て満たしている必要があります。
詳細は「内分泌代謝・糖尿病領域専門医制度」のホームページを参照してください。
経験症例と病歴要約
内分泌代謝・糖尿病領域専門医制度では内分泌代謝・糖尿病J-OSLERという症例登録・評価システムを用いて、経験した症例や技術・技能を記録し、指導医による評価を受ける必要があります。
研修修了には経験症例100症例、病歴要約18症例(一次評価)、技術技能評価、多職種評価を内分泌代謝・糖尿病J-OSLERJ-OSLERに登録し、承認されることが必要です。
病歴要約18症例の内訳は以下の通り定められています。
- 内分泌: 修了要件8症例(指定分野7症例、任意分野1症例)。
指定分野は
①視床下部・下垂体疾患1例
②甲状腺疾患3例
③カルシウム・骨代謝異常1例
④副腎疾患2例。 - 糖尿病以外の代謝: 修了要件2症例(指定分野:⑪肥満症1例、⑫脂質異常症1例)。
- 糖尿病: 修了要件8症例(指定分野8症例)
指定分野は
⑭1型糖尿病と⑮2型糖尿病合わせて4例(1型糖尿病を1例以上含む)
⑯特殊な病態における糖尿病1例
⑰急性合併症1例
⑱慢性合併症(糖尿病細小血管症)1例
⑲慢性合併症(糖尿病大血管症)1例
| 領域 | 症例数 | 指定分野 |
| 内分泌 | 8 | ①視床下部・下垂体疾患 (1例) |
| ②甲状腺疾患 (3例) | ||
| ③カルシウム・骨代謝異常 (1例) | ||
| ④副腎疾患 (2例) | ||
| 任意分野 (1例) | ||
| 糖尿病以外の代謝 | 2 | ⑪肥満症 (1例) |
| ⑫脂質異常症 (1例) | ||
| 糖尿病 | 8 | ⑭1型糖尿病と⑮2型糖尿病 (合わせて4例、1型糖尿病を1例以上含む) |
| ⑯特殊な病態における糖尿病 (1例) | ||
| ⑰急性合併症 (1例) | ||
| ⑱慢性合併症(糖尿病細小血管症) (1例) | ||
| ⑲慢性合併症(糖尿病大血管症) (1例) |
試験内容と申請手続き
申請書類
専門医の申請には、以下の書類が必要です。
- 内分泌代謝・糖尿病内科専門医認定申請書(申請者の捺印要)
- 病歴要約18症例(内分泌代謝・糖尿病J-OSLERから印刷)
- 業績目録(抄録または論文Abstractのコピーを添付)
- 研修修了証明書(統括責任者の捺印要)
- 医師免許証コピー
- 日本専門医機構認定内科専門医認定証コピー
- 審査料(10,000円)の振り込み証明
病歴要約は内分泌代謝・糖尿病J-OSLERで一次評価を修了した18症例を、片面1ページ(A4サイズ)に収まるよう2アップで印刷して提出する必要があります。業績は3編必要で、内分泌代謝領域および糖尿病領域それぞれ1編以上、計3編の学会発表または論文発表が必要です。このうち少なくとも2編は筆頭者(内分泌代謝領域および糖尿病領域それぞれ1編以上)である必要があります。
2025年度の申請書の受付期間は2025年8月1日から9月8日です。試験日は別途案内される予定です。



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