はじめに
日本糖尿病学会が認定する糖尿病専門医資格は、糖尿病診療における知識と診療技能を証明することのできる資格です。試験の全体像を把握し効率的な学習計画を立てることは合格への不可欠なステップとなります。この記事では日本糖尿病学会の公式サイトで公開されている最新情報や過去の糖尿病学会専門医試験情報を試験対策について解説します。
なおこの記事は日本糖尿病学会の糖尿病専門医の対策について述べています。日本専門医機構が認定している「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医」の対策についてはこちらの記事を参照してください。
糖尿病専門医試験の概要
試験の基本情報
第36回(2025年度)の日本糖尿病学会糖尿病専門医認定試験は2025年10月26日(日)に開催されます。試験会場はパシフィコ横浜です。試験の詳細な案内は受験資格を得た候補者に対して文書郵送にて通知されることになっています。受験票および試験の案内は9月中旬以降に順次送付されます。
試験当日の特別措置、例えば、つわりによる退出希望者への出入り口付近の座席提供や、授乳が必要な候補者への口頭試問の午後実施の優先などについても、試験案内に詳細が記載されるとされています。
例年、糖尿病専門医試験としては午前中に筆記試験として論述問題のパート、選択肢の問題のパート、午後に面接試験が行われているようです。
申請手続きと期限
受験の申請期間は2025年4月1日から6月30日(消印有効)までと定められています。この期間内に専門医認定委員会による審査に必要な書類を揃えて提出しなければなりません。
受験の申請は年に一度の機会であり、書類不備や期限超過は受験資格を失うことにつながるため余裕を持った準備が求められます。
2025年 糖尿病専門医試験日程
糖尿病専門医試験の日程について下記の表にまとめました。
| 日程/期間 | イベント |
| 2025年4月1日~6月30日(消印有効) | 受験資格申請受付期間 |
| 2025年9月中旬以降 | 受験票・試験案内送付開始 |
| 2025年10月26日(日) | 第36回 糖尿病専門医試験 実施日(筆記・口頭) |
筆記試験対策
筆記試験の出題範囲
糖尿病専門試験の出題範囲については下記のように糖尿病協会の公式ホームページに記載されています。
第36回糖尿病専門医試験は2025年10月26日(日)に実施いたします。
筆記試験においては、従来から『糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版』など糖尿病学会が編集している本を中心に出題しておりますが、これに加えまして学会誌『糖尿病』で取り上げました最新の話題(過去3年間程度 65巻(2022)5号~68巻(2025)4号 に取り上げられた特集や委員会報告など)につきましても出題の資料となりますことをご連絡いたします。
小児科受験者は『小児・思春期糖尿病コンセンサス・ガイドライン』も出題の資料となります。
口頭試験においては、糖尿病に関する十分な知識および臨床経験を有することに加えて、書類審査で提出された症例に関する確認や、糖尿病治療にあたるチームのリーダーとしての資質、他の診療科からの相談に適切に対応できる能力なども評価されます。日本糖尿病学会ホームページより引用
筆記試験の問題は日本糖尿病学会が編集した公式出版物から出題されます。中心となるのは、『糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版』です。このガイドブックは日本糖尿病学会の専門医研修カリキュラムに準拠したテキストであり試験対策としては必須です。
これに加え最新の動向を問う問題が出題されることも明確にされています。具体的には学会誌『糖尿病』の最近3年間の特集や委員会報告などの内容も出題範囲とされています。2025年度の糖尿病専門医試験では、第65巻第5号(2022年)から第68巻第4号(2025年)までに掲載された特集記事や委員会報告が出題範囲となります。
小児を専門とする受験者には、『小児・思春期糖尿病コンセンサス・ガイドライン』からも問題が出される可能性があります。
『糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版』
『糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版』は日本糖尿病学会が総力を結集したスタンダードテキストとして位置づけられています。『糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版』は糖尿病の疾患概念、診断基準、疫学から、臨床検査の意義、遺伝疫学、最新の治療アルゴリズムに至るまで、専門医に求められる広範な知識を網羅しています。改訂版では、2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズムの見直し、イメグリミンや経口GLP-1受容体作動薬などの新しい薬剤、持続グルコースモニター(CGM)といった技術の進展など、最新の知見が反映されています。
試験対策でなくても糖尿病に関する知識の習得のため重要なテキストになっています。
小児科の糖尿病専門医受験の方は「小児・思春期糖尿病コンセンサス・ガイドライン2024」の内容も学習しておきましょう。
筆記試験の問題は日本糖尿病学会が編集した公式出版物から出題され、出題範囲の多くの部分は『糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版』に含まれている内容になりますが、一部の内容は他の出版物にしか記載されていない内容もあり参照する必要があります。食品交換表や糖尿病治療ガイドの内容も確認したほうが良いです。
学会誌『糖尿病』の特集、委員会報告、学界からのお知らせ
筆記試験の出題範囲に最近3年間の学会誌『糖尿病』の特集と委員会報告などが含まれています。単に過去の知識を問うのではなく、専門医として最新の臨床動向を継続的に学習しているかを評価する学会の姿勢を示唆しています。試験問題はガイドブックに掲載された基本的な知識に加え、最新の委員会報告やコンセンサスステートメントに基づいた実地臨床や研究動向を反映した内容が出題されます。
試験対策として特集や委員会報告の内容を学習することは重要ですが、これらの内容は新しい知識を取得する上でも重要です。
また日本糖尿病学会のホームページの「学会からのお知らせ」のうち、糖尿病学会からのステートメント、reccommendation、注意喚起などの内容は一度、確認しておいた方が良いと思います。
口頭試問
口頭試問の評価ポイント
糖尿病専門医試験では筆記試験だけではなく、口頭試問も課されます。口頭試問では臨床医としての総合的な能力が評価されます。
具体的な評価項目は以下の通りです。
- 糖尿病に関する十分な知識と臨床経験の有無。
- 申請時に提出した症例の確認と、その症例に対する深い考察力。
- 糖尿病治療チームのリーダーとしての資質の評価。
- 他科からのコンサルトに適切に対応する能力。
個人的なおすすめ
上記に糖尿病専門医試験対策について述べましたが、医科に個人的なおすすめを記載します。
教材としては『糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版』の内容を一通り学習することをお勧めします。また最近3年間の学会誌『糖尿病』の特集と委員会報告の内容、学会ホームページのステートメント、reccommendationなどの内容もしっかり確認しておきましょう。『糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版』、最近3年間の学会誌『糖尿病』の特集と委員会報告については学会の公式ホームページでも試験範囲として明確に記載されており、論述問題、選択肢問題のいずれにおいても関連した内容が出題されている印象です。
学生時代の試験意向で論述問題の経験はあまりないと思います。糖尿病専門医試験の論述問題を時間内に回答を作成するにはそれなりの訓練が必要と考えます。論述問題の対策として最近のトピックになっている話題、特に学会誌『糖尿病』の特集や委員会報告の内容について、200-300文字程度で記述できるように準備しておいた方が良いでしょう。
また食品交換表に関連する問題、日本糖尿病学会や日本糖尿病協会の活動に関する問題も出題されているようですので確認しておくと良いと思います。
まとめ
糖尿病専門医試験は単なる知識の暗記力テストではなく、臨床医としての総合的な力量を問うものです。論述試験、選択肢試験、口頭試問が課されます。試験対策としては日本糖尿病学会の公式ガイドブックを土台に、最新の学会誌で知見をアップデートしすることが求められます。本記事が糖尿病専門医試験を受験する皆様の試験準備の一助となりましたら幸いです。




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