はじめに
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医の資格は現代の医療においてますますその重要性を増しています。この糖尿病・内分泌代謝内科領域専門医の資格はこの領域の知識と高度な診療能力でより質の高い医療を提供できることの証明になります。しかし多忙な臨床業務と並行して専門医試験の準備を進めることは多くの医師にとって負担となっています。
この記事では内科専門医制度における「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験」の合格を目指す皆さんが、限られた時間の中で効率的かつ効果的に学習を進められるよう、具体的な勉強方法、必携の書籍、活用すべき講義・サービスについて、解説したいと思います。この記事が皆様の専門医試験対策の一助となれば幸いです。
なお内分泌代謝・糖尿病領域専門医の受験資格の要件については下記の記事をご参照ください。
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験の概要
まず内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験の概要について確認しましょう。
この試験は日本内分泌学会と日本糖尿病学会が協力して実施しています 。
2025年度の試験は2026年2月22日(日)にパシフィコ横浜で開催される予定です。
第97回日本内分泌学会の講演の中で試験について下記のように述べられていました。
難易度:従来の内分泌代謝科(内科)専門医試験と同等であること
形式:多肢選択式問題(Multiple Choice Question)
出題数:全100問(午前90分50問、午後90分50問)
出題比率:内分泌45問、代謝10問、糖尿病45問
日本内分泌学会と日本糖尿病学会から委員を選出して作問する。
合格率は比較的たかく、第一回の合格率は99.3%、第二回の合格率は97.0%でした。
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験の合格率の詳細については下記をご参照ください。
得点率が低かった問題
第97回日本内分泌学会の講演の中で得点率が低かった問題についても述べられていました。
得点率が低かった問題として、①骨、カルシウム代謝、副甲状腺領域、②計算問題(FECa(%)、%TRP、副腎静脈サンプリング関連指標)、③遺伝性疾患、責任遺伝子名、④ステロイドマップ(先天性副腎過形成症の鑑別など)、⑤栄養関連問題(食品交換表に関する問題など)が挙げられていました。
これらの内容は苦手な受験者が多いと想定されます。対策をして得点できるようにしましょう。
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験対策の教材
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験合格のためには質の高い教材を選定し効率的に学習を進めることが不可欠です。以下に教材を示します。
「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医研修ガイドブック」
「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医研修ガイドブック」は内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験の公式の教材といってよいでしょう。第97回日本内分泌学会の講演の中でもそのように述べられていました。
このガイドブックは、日本内分泌学会と日本糖尿病学会が総力を結集して編集したもので、新専門医制度のカリキュラムに完全に準拠しています。この書籍は専門医試験対策に留まらず、内分泌代謝・糖尿病内科における日常診療に役立つ知識も凝集されています。
総論から内分泌代謝疾患のエマージェンシー、各種検査法、視床下部・下垂体疾患、甲状腺疾患、カルシウム・骨代謝異常、副腎疾患、多発性内分泌腺異常、成長障害、性腺疾患、腫瘍とホルモン、薬剤性内分泌代謝異常、肥満、脂質異常症、高血圧、水・電解質異常、その他の代謝異常、糖尿病、低血糖、さらには心理社会的問題や医療安全、医療経済まで、広範な内容を網羅しています。
問題集
知識のインプットも重要ですが、専門医試験対策という点では問題を解いて知識のアウトプットを行うことも重要です。
「内分泌専門医に絶対合格したい人のための問題集 第2版」
「内分泌専門医に絶対合格したい人のための問題集 第2版」は実践的な問題集として試験対策として試験対策に活用されています。著者自身の受験体験に基づいて試験の出題項目を総まとめにしており、効率的な学習に役立ちます。またこの問題集は書類審査で必須となる病歴要約の作成コツや提出後のチェック項目についても解説されています。
「内分泌代謝・糖尿病専門医のセルフスタディ230」
内分泌代謝・糖尿病疾患に特化した230問を収録した問題集です。前版から10年が経過し主要な診断基準や診療ガイドラインに対応して大幅に改訂されています。8つの分野ごとに問題と解説がまとめられています 。各問題には3段階の難易度が示されており、通常の索引に加えて「出題テーマ」から問題を探せる問題索引が用意されています。
「内分泌疾患(New専門医を目指すケース・メソッド・アプローチ)」
「教科書で学んだ知識と実際の臨床現場との隔たりを埋める」ことをコンセプトにした問題集です。症例を通して治療のヒントを得たり専門医に相談するような形で学習できる構成が特徴です。。厳選された35の症例について、経過を追いながら自分で考え判断していくことで最新の知識を身につけることを目的としています 。また症例に留まらない、複数の疾患にわたる横断的な知識を問う一般問題も44題収載されています 。実際の臨床症例を模したケーススタディ形式で、食欲不振、体重減少、無月経、頭痛、高血圧、低血糖など、多岐にわたる主訴の症例を扱っています 。
試験対策の個人的なおすすめ
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験の概要、対策教材について述べました。
「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医研修ガイドブック」が学会が公式に発行している教科書のようなものです。試験対策に限らず学習教材としてお勧めできると思います。罹患率が低い疾患は実際の症例経験を積むことが難しい場合もあると思いますので、書籍での学習は重要と考えます。
また試験対策の問題集としては「内分泌専門医に絶対合格したい人のための問題集 第2版」、「内分泌代謝・糖尿病専門医のセルフスタディ230」がおすすめです。医師になると問題を解くという知識のアウトプットはほとんどしなくなります。試験対策という意味ではこれらの問題集を活用したアウトプットの練習は重要と考えます。
「内分泌疾患(New専門医を目指すケース・メソッド・アプローチ)」は勉強になる内容を含んでいると個人的には感じますが、試験対策という意味での上記のほうが優先順位が高い印象です。
実際の試験会場では「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医研修ガイドブック」、「内分泌専門医に絶対合格したい人のための問題集」を持っている受験生が多かった印象です。
また試験対策として先天性副腎過形成症は抑えておいた方が良いでしょう。専門医受験時点で先天性副腎過形成症の診療経験が多い受験生は少ないと思いますが、試験ではよく問われているようです。ステロイドマップなどとともに理解を深めておきましょう。
まとめ
内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医試験は内科専門医としての基盤の上に専門分野の深い知識と実践的な臨床能力が問われる資格です。合格への道のりは多岐にわたる受験資格の要件を早期に理解し、計画的な研修と学術活動を積み重ねることから始まります。
『内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医研修ガイドブック』を核とし、専門医試験対策問題集で実践力を養い、最新の診療ガイドラインや学会誌で知識を更新しておくことが、試験対策として重要です。





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