はじめに
2025年11月9日に総合内科専門医試験が行われます。この記事では総合内科専門医試験対策について述べたいと思います。
臨床医にとって総合内科専門医試験の対策は容易ではありません。自身の専門としているサブスペシャリティ領域だけではなく、内科全般領域の知識が問われるためです。また勉強のために使用できる時間が限られている場合が多いでしょう。このため効率的に学習していくことが求められます。
勉強に充てられる時間は個人個人の状況で差が大きいと思われますし、現時点での学習状況にもよりますが、3か月程度の時間は勉強のための時間を確保できるようにしておくのが良いでしょう。
内科専門医試験対策についてはこちらの記事をご覧ください。
第53回総合内科専門医試験
日本内科学会総合内科専門医資格認定試験は2025年11月9日(日)に横浜と大阪の2会場で実施される予定です。試験時間は午前9時から午後4時10分までと長丁場になります 。
総合内科専門医試験の概要はこちらの記事をご参照ください。
試験対策の概要
総合内科専門医試験をより高い得点率で合格するのが理想的ですが、この記事では合格することを目標とした場合の学習について述べていきます。
当然ではありますが総合内科専門医試験の合格は満点を目指すものではなく、合格ラインを超えることが目標です。第52回の総合内科専門医試験の合格率は89.5%、平均点は72.45%でした。第52回の合格率は過去の総合内科専門医試験の中でも非常に高い合格率でした。合格最低点は公表されていないと思われますが、60%以上の得点率が必要と考えられているようです。
200問中80問を間違えても合格できる可能性があるということになりますが、他の受験生が正解するであろう問題を確実に得点することは重要です。難易度の高い、誰もが知らないような問題に深入りするよりも、基本的な知識や頻出テーマを徹底的に復習し、取りこぼしをなくすことが最も効率的な戦略です 。試験中に難しい問題に直面しても、「自分が分からなければ、他の受験生も分からないだろう」と割り切る心構えも、精神的な消耗を抑え、冷静さを保つ上で有効でしょう 。
また試験直前期は合格できるのか不安になってしまう方もいるでしょう。直前は新しい問題に手を出すのではなく、これまで学習してきた教材や自身で作成したまとめノートの復習に全時間を充てるべきです 。知識を徹底的に復習し、暗記することで曖昧な知識を強固なものにし、確実な得点力につなげることが重要です。
総合内科専門医試験対策の書籍・問題集
「認定内科医試験・総合内科専門医試験 過去問題集 第1集・第2集」
日本内科学会が発行する『認定内科医試験・総合内科専門医試験 過去問題集 第1集・第2集』は、日本内科学会が公式に提供する過去問題集であります。実際の試験の出題形式や問題の傾向を把握することに活用できるでしょう。多くの受験生が活用すると思われます。
第1集は2016年度の出題問題の計550題から316題を抜粋したものです。解説はほぼありません。定価は税込み5000円です。
第2集は2018年度の出題問題から認定内科医試験問題190題、総合内科専門医試験問題144題の計334題が掲載されています。簡単な解説がついています。定価は税込み6000円です。
この公式問題集は実際の試験と比較して問題の難易度が比較的易しく、また掲載されている問題が古い年度のものであるという点には注意が必要です。また一般の書店では取り扱いがなく日本内科学会のホームページから購入を申し込む必要があります。また在庫切れのためすぐに入手できないこともありますので注意してください。
「生涯教育のためのセルフトレーニング問題と解説 第5集」
認定内科医・総合内科専門医の受験資格、更新要件にもなっているセルフトレーニング問題を書籍化した公式問題集です 。最新の話題やガイドラインのアップデートを把握する上で有用で、試験対策として活用することをお勧めします。
ただし実際の総合内科専門医試験と比較してセルフトレーニング問題の難易度が高い点には注意が必要です。セルフトレーニング問題は勉強しながら解答するという問題ですので、セルフトレーニング問題をもとに周辺領域の知識を習得していくのが良いでしょう。
第5集は2024年4月10日に発行され、2018年から2022年のセルフトレーニング問題に新作問題を加えた328問が掲載されています。定価は税込み7700円です。第4集は2018年、第3集は2015年に発行されています。内容が古くなってしまっているので第4集以前の活用の優先順位は高くないと考えます。
また認定内科医試験・総合内科専門医試験 過去問題集と同様に、一般の書店では取り扱いがなく日本内科学会のホームページから購入を申し込む必要があります。また在庫切れのためすぐに入手できないこともありますので注意してください。
THE総合内科ドリル (Ver.2)
『THE総合内科ドリル』は2021年に発売されていますが、2025年7月にVer2にupdateされました。全2巻で300問が収録されています。WEB版(1年の利用ライセンス)付でスマホやPCでも学習可能になっています。
出題数・分野構成ともに内科系専門医試験の出題傾向を意識して設計されています。最新のガイドラインやエビデンスを踏まえた解説・情報更新を図っており、試験対策教材であると同時に生涯学習教材としても利用し得る設計になっています。
「イヤーノート内科・外科 2026」(「Year Note」、「Quick Check」)
『Year Note』は医師国家試験や内科系専門医試験対策の定番の参考書です。多くの受験者が活用しているでしょう。
『Year Note』の付録である『Quick Check』は、各分野の疾患ごとのチェック項目を簡潔かつ網羅的にまとめたQ&A形式の問題集です。過去の出題箇所が明示されており、知識の整理に非常に役立ちます 。これを核として、短期間での知識の効率的な習得と定着を図るのが効果的です。
問題集で間違えた箇所や知識が不十分だと感じた箇所を『Year Note』で確認し、知識を反復的に吸収するのが良いでしょう。アプリ版の『Year Note』は、『QBオンライン』との連携機能や、マーカー部分の連続確認機能があり、効率的な復習をサポートします 。
「イヤーノート内科・外科2026」は税込み30360円です。 書籍版を購入した方はアプリ版(mediLink)を2025年7月末までは税込み6600円で購入できます。それ以降は13200円となるようです。スマホなどですき間時間に学習できるのでアプリ版の追加購入もおすすめです。
『Year Note』は、その包括性と網羅性に加え、付録の『Quick Check』によるQ&A形式での知識整理、そして『QBオンライン』とのシームレスな連携が可能であり、総合内科専門医試験対策の教材としても有効でしょう。
「試験のあとも残しておきたい 内科専門医・総合内科専門医試験対策問題集」
『試験のあとも残しておきたい 内科専門医・総合内科専門医試験対策問題集 改訂2版』は、2025年2月に改訂2版が刊行され、初版の1.5倍に増量されました 。この問題集は臨床現場の症例をベースに作成されており、試験対策だけでなく実際の臨床にも役立つ内容が特徴です 。
単なる問題と解答に留まらず、「試験の傾向」「おさえておきたい関連事項」「実際の症例では」「サブスぺからの一言」といった充実したセクションが含まれています。これにより一つの問題から関連する複数の症例や周辺疾患、重要事項を学ぶことができ、より理解が深まるでしょう。各問題には「総(総合内科専門医)」「専(内科専門医)」「認(認定内科医)」のA~C評価で出題頻度が示されており、効率的な学習をサポートします。また2016年、2018年の公開試験問題に加え、2019年、2022年、2023年、2024年の総合内科専門医試験の情報も分析されており、最新の傾向を把握する上で有用です 。刊行後もウェブサイトで最新情報が提供される予定です 。
「クエスチョン・バンク 総合内科専門医試験 予想問題集」(QBオンライン内科専門医試験)
メディックメディアが提供するオンライン問題集で、医師国家試験で培われた「クエスチョン・バンク」形式で内科専門医試験対策が可能です 。受験者からの情報をもとに専門医が作成・監修しており、解説が丁寧で分かりやすいと評判です 。『イヤーノート』の参照ページが掲載されており、スムーズな知識確認が可能です 。約670問を収録しPCやスマートフォンで利用できるためすき間時間の学習に最適です 。mediLinkアプリとの連携により、解説から『イヤーノート』の関連ページへ直接リンクする機能も備わっています 。価格は22,000円(税込)で最大約2年間利用可能です 。mediLink会員であれば、一部の章(A・B章)を無料で試用できます 。
「THE内科専門医問題集」
医学書院から出版されている問題集で、WEB内科塾のコンテンツにも含まれています 。Ver.2は全3巻で構成され合計600問が収録されています 。各巻7,480円(税込)で、1年間のWEB版利用ライセンスが付属します 。CareNeTVの「THE 内科専門医問題集 ‘見るラヂオ’」でチーフエディターによる解説動画が配信されており、問題集と連携して学習を深めることができます 。
オンライン講義・サービス
CareNeTV
医療情報サイトCareNet(ケアネット)が運営している臨床医学チャンネルです。総合内科専門医試験の対策講座として「総合内科専門医試験バーチャル模試」、「長門流総合内科専門医試験出るズバッ!LIVE」、「総合内科専門医試験オールスターレクチャー」、「THE内科専門医問題集見るラヂオ」などを視聴することができます。
CareNeTVは月額5500円で利用可能です。入会から1か月間は無料で利用できるようです。総合内科専門医試験対策以外にも臨床に役立つ様々なコンテンツがあります。
CareNeTVの利用にはCareNetへの登録が必要です。下記から登録できます。

WEB内科塾
『WEB内科塾』は内科系専門医試験対策のためのオンライン問題集サービスです 。吟味された約1,500もの臨床問題を収録しており、内科専門医試験、総合内科専門医試験など、幅広い内科系専門医試験に対応しています 。
『THE内科専門医問題集 ‘見るラヂオ’』の講義動画が『WEB内科塾』内で視聴可能です 。チーフエディターが、専門医試験の重要トピックについて出題ポイント、解答・解説、周辺知識をKEYスライドで丁寧に解説します 。2025年3月以降も順次動画が追加される予定です 。
1年間の個人向けWebサービス契約で35,200円(税込)です 。最大2日間の無料トライアルが提供されており、購入前にコンテンツや機能を試すことができます 。監修者には、総合内科専門医や米国総合内科専門医の資格を持つ経験豊富な医師が名を連ねており、質の高い問題と解説が期待できます 。
総合内科試験対策の個人的おすすめ
ここまで総合内科専門試験対策教材について解説しました。上記以外の教材もありますが現実問題としてすべてを用いて学習することは不可能です。下記に個人的な総合内科試験対策のおすすめを書きます。(あくまで個人的な見解です。)
まずは「認定内科医試験・総合内科専門医試験 過去問題集 第1集・第2集」で試験傾向を把握する必要があります。解けなかった問題は教科書や「イヤーノート」で知識を確認しましょう。
「生涯教育のためのセルフトレーニング問題と解説」 はトピックになっていること、出題されそうな話題の内容を把握するという意味では良い教材です。しかしセルフトレーニング問題は実際の総合内科専門医試験と比べると難易度が高いように思います。「セルフトレーニング問題」は勉強しながら答えることを想定しており、総合内科専門医試験とは難易度設定が異なるものと思われます。しかし、学習の材料としては良いと考えます。
また「CareNeTV」などの講義動画も有効です。CareNeTVの「長門流内科専門医試験出るズバッ!LIVE」、「総合内科専門医試験オールスターレクチャー」では総合内科専門医試験で出題される可能性の高い領域が解説されています。自分の理解が弱い部分を重点的に勉強するためにも活用するのが良いでしょう。CareNeTVは月額5500円ですので集中して勉強できる期間に契約するのがおすすめです。
試験対策という点では最終的には知識を詰め込まなくてはならない部分もあると思います。イヤーノートに付属している「内科系専門医試験 Quick Check」、などで繰り返し知識の定着化を図るのが良いと思います。
おわりに
総合内科専門医試験対策の最も効果的な学習法の一つは、問題演習と『Year Note』などの信頼できる参考書を活用した学習です。問題を解き、間違えた箇所や理解が不十分な箇所を参考書で確認し、知識を確実にするサイクルを繰り返すことで、効率的な試験対策を行うことができます。
講義動画や問題集から得た知識や理解が不十分な点を自分なりにまとめたノートを作成することは、試験直前の最終確認に非常に有効です 。これにより膨大な情報をポイントに絞って見返すことが可能になります。
学習した内容を何度か繰り返すことは、記憶を定着させる上で重要です。特に1周目を素早く終わらせ、2周目以降で記憶に焦点を当て、3周目でさらに知識を強固にするという段階的なアプローチが推奨されます 。
内科系専門医試験は広範囲にわたるため、自身の専門外の分野や苦手意識のある分野も学習する必要があります 。問題演習を通じて弱点を特定し、その分野に特化した学習を行うことが効率的です 。
合格者の多くが取り組んでいるであろう、過去問やセルフトレーニング問題、主要な問題集の総合内科部分をしっかり押さえることで、自分だけができないという状況を回避し、合格ラインに到達する可能性を高めましょう。




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